東京郊外の成熟したベッドタウンに設計された、46m2から132m2までの15戸の住居からなる2層の集合住宅である。全体としては、周辺にはわずかな余地しか残さず、ほぼ敷地一杯に建て、それでも外周側壁面に設けられた開口から、隣地側からの採光と通風を期待するという、高価な地価に起因する日本の都市部の住居形式を踏襲している。と同時に、住戸の幅を狭めつつ、その内周側壁面にも開口を設け、そこからも採光と通風を期待することで、各住戸の居室に両面採光・通風を可能にしている。中庭は、その目的で結果として生まれたもので、それは共有の庭というよりも、住戸から眺められるべき架空の都市風景としてデザインされている。建物全体は青木野枝氏の鉄のリングのアート作品で覆われている。将来的には美術館として改修される計画がある為、回遊性を持った構造体としてデザインされている。
協力:青木野枝(彫刻)
写真撮影: Daici Ano