新潟県十日町市の中心市街地活性化事業として、2つの建物をそれぞれ「市民交流館」、「市民活動館」として改修する設計活動である。既得権を持った活動だけでなく、新たなコミュニティを育て、新たな活動を生み出すことにまで、設計という行ないを拡張することを試みた。また、空間ができあがり、使われ、変化していく、地元の人たち主役のその流れのなかにあって、設計行為を、そこにフェイドインしまたフェイドアウトしていく、いわば触媒的行為と捉え、そのありかたを探ろうとした。
まず、青木事務所の十日町分室として、対象建物のそばにガラス張りの部屋を借りた。次に、その部屋を我々の分室というだけでなく、市役所の分室、ワーキンググループの分室、市民活動の分室と、様々な主体の分室=ブンシツとしての利用に開放した。工事着工後は、工事現場詰所の一部に、「ブンシツ」を移し、活動を継続した。
出来上がったのが、「分じろう」と呼ばれる「市民交流館」と、「十じろう」と呼ばれる「市民活動館」である。「ブンシツ」の活動が、それらでの活動に統合・解消された。
市街地活性化のための空間モデルとしては、交通のための道と、管理される敷地との間に、増築もしくは減築によって、半戸外の明るい、目的が固定されない「余白」の空間をつくりだすことを提案した。
2016年09月29日
青木淳建築計画事務所+十日町まちなかステージ応援団による、「ブンシツ」及び 十日町まちなかステージ応援団の活動が、地域・コミュニティづくり/社会貢献活動の部門で公共施設設計として、グッドデザイン賞2016ベスト100受賞