地面をトレンチ状に縦横に切った上向きに凸凹の土のランドスケープに、上面は平らで下面は凸凹の構造体を噛み合わせた構成を持つ美術館建築である。構造体内にホワイトキューブの展示室を持つ他、構造体と土との間の様々なスケールとプロポーションを持つ隙間空間をサイトスペシフィックな展示室としている。構造体と噛まないトレンチ部は、屋外展示空間、ワークヤードとして用いられる。外壁は煉瓦カーテンウォールでありながら、外壁全体で変位を吸収するようにすることで、カーテンウォールに伴うジョイントを隠し、煉瓦組石造が空中に浮いたような印象を与えている。土のトレンチは、隣接する重要な考古学的遺跡「三内丸山縄文遺跡」との一体性を醸し出している。
写真撮影: Daici Ano