AOKI JUN
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SHIMA GINZA annex

TOKYO, JAPAN

COMMERCIAL

東京・銀座のすずらん通りとみゆき通りの交差点に建つ新築ビル3階に入るヘアサロンの内装デザインである。もともとの空間が2方向から外光を得られる天井の高い空間であり、その特徴を十分に利用しようと考えた。
ヘアサロンという空間は、ゲストそれぞれが主役になって、施術にあたるスタイリストのパフォーマンスを、ゲストそれぞれがまた観客として楽しむ舞台的な空間ではないだろうか。そう捉えることから、このプロジェクトは始まり、そしてその結果、ゲスト一人ひとりの場をフレームによって緩やかに囲いつつも、お店全体が一つの空間として見渡せる開放的なものとするというデザインの方針が生まれた。
フレームは、幅75㎜、厚み2㎜のシャンパンゴールド色に染色されたアルミ板を、ブラインドリベットによって組み合わせた部材からなる。高さ3770㎜の天井高をよりゆったりと感じさせるように、フレーム高さを3000㎜に抑え、いわば入れ子状の空間をつくり出している。また柱の配置をランダムにすることで、「マイステージ」の囲い方に緩やかさを与え、更に上方のフレームにはテープ状LEDを埋め込み、天井全面をさりげなく柔らかく照らす間接照明とし、より一層上方向に抜ける高く優雅な空間を目指した。
ドレッサーはぞれぞれのマイステージごとに独立して一つずつ、外側にやや開いた大きな箱状のものとした。「箱」の側面にはハリウッドライトを設け、その光とゲストが座る位置よりやや後ろを狙った天井からのスポットライトを重ね合わせることで、ゲストを「主役」として、輝かせ、浮かび上がらせようとしている。
フレーム単位で設けられるドレッサーは、空間全体に千鳥状に配置されている。そのことによって、目の前の鏡には、自分と担当のスタイリストだけでなく、他のスタイリストに施術してもらっている他のゲストの像が、前後方向、対角線方向に重なって見え、ゲストは「主役」であると同時に「観客」でもあることが実感できるようになっている。-店舗(内装)
〈謝 欣芸/青木淳建築計画事務所〉

写真撮影: Daici Ano