既存2.1mのコンクリート・ブロック塀の高さと2階の床高さが揃っているために、全体がほぼ半階分沈めた状態の住宅である。構成は各層ごとに性格を異にした明確な3層構成である。最下層は基壇を成し、そこから4つ円弧によって欠きとられて生まれた坪庭を持つ内向的な空間である。中央層は基壇の中央部に70cm浮いて長方形平面で回された「塀」によって囲まれた空間で、隣接する住戸からの視線を遮りながら、外光が床に反射してから上方に拡散する間接光で充満する空間である。最上層は、高さ96cmの腰壁以上を開口とし、遠方までの眺望に開かれた空間である。最下層は鉄筋コンクリート造、中央層は鉄骨鉄筋コンクリート造、最上層は鉄骨造である。
写真撮影: Tsunejiro Watanabe