東京近郊の住宅地である荻窪に建てられた、地域住民の健康増進を目的としたスポーツセンターである。周辺が住宅地であることから、巨大なヴィリュームとならないよう、アリーナ床は地下6.64m、スイミングプール床は地下2.49mまで埋め、地上部を5mの高さに抑えた。また、敷地にフェンスを巡らさず、昼夜を通して通過できる公園のような環境とするため、アリーナの棟とスイミングプールの棟とに2分して、それぞれを死角の生まれにくい楕円形平面とした。それぞれの屋上は、武蔵野の自然が残る原っぱとして計画した。
周辺環境と連続した環境でありながら、その環境とただ同化するのではなく、人々が周辺環境の魅力に気づくきっかけとなるようなあり方を心がけた。また、いたずらに完成しきった純潔な空間にすることを避け、現在は想定できない今後のさまざまな使い方に対して寛容な空間になるようにした。
もともと小学校だった敷地にあった4本の大銀杏を残し、またそれらを全体環境の「要」として扱った。
写真撮影: DAICI ANO