日本科学未来館での繊維に関する展覧会の会場構成デザインである。漁網用の透明ナイロン繊維が、高さ6m間隔1cmで並びそれが幅18mとなった層が基本単位になっている。この層が間隔10cmで9層、14層、9層、9層と積層された4枚の半透明区画幕によって、長方形の展示空間が5つのゾーンに分割されている。各層のナイロン繊維には、白色スプレーで浮世絵のモチーフを抽象化したパターンが施され、その重なりが絹状の透明繊維の林のなかに、奥行きをもった雲状の画像を浮かび上がらせている。半透明区画幕には、時間によって強弱を推移させるプログラムをセットされた照明が仕込まれ、繊維上の煌めきや空間全体の奥行きに時間的な変化を与えている。 (日本科学未来館=National Museum of Emerging Science and Innovation)
写真撮影: Daici Ano