既存の石垣の擁壁を基壇として、その上に台形体コンクリートの箱が載る構成を持つ住宅である。主階の中央には床から50cm浮いて天井から「ベッドボックス」が吊られ、それが1室空間である主階を柔らかく分節している。ガレージの奥からはFRP板を通して浴室からの光が漏れ、ガレージの脇に設けられた玄関から階段を登ると、途中、主階の床と「ベッドボックス」との間の浅い水平の隙間から、2方向に眺望が一挙にひらけ、この住宅が面する墓地と巨大な榎を見ることができる。水平な隙間はまた、地階への採光を与えている。茶室のような「ベットボックス」は一部、バーベキューガーデンである屋上を突き抜け、その塔屋から採光と換気が与えられている。
写真撮影: Jun Aoki